向井酒造

海まで0秒の日本で一番海に近い蔵

向井酒造は京都・丹後にある伊根町で1754年に創業。国定公園に指定されている天の橋立から車で30分ほどにある、日本全国でも稀な「舟屋」が230軒も連なるエリアで酒造りを行なっています。

天橋立

天橋立

「舟屋」とは家のガレージが船着場になっているイメージで、300年近く前からあったのだそうです。波が穏やかという地理的利点を生かした建物となっています。蔵も舟屋のため、すぐ目の前が海という数ある蔵の中でも一番海に近い蔵。外観は重要伝統的建造物群保存地区に指定されている関係で、外観の変更は認められていないため、江戸時代に建てられた蔵をそのまま使っています。

舟屋が立ち並ぶ

舟屋が立ち並ぶ

敷地を拡大出来ないため蔵はこじんまりとしており、今あるスペースの中で縦の空間を最大限に使うなど、工夫を凝らして酒造りを行なっています。
雪も多く降るエリアなので、1Mぐらい積もった時は、酒造りの前に雪かきから始まるという苦労話も。

 

「なんでもチャレンジしてみる。」

向井酒造は、姉弟で酒造りをしており、チャレンジ精神旺盛なお姉さんが杜氏、弟さんが社長兼蔵人を担当しています。

左から向井社長と向井杜氏

左から向井社長と向井杜氏

酒造りのこだわりの一つは、全量を純米酒で醸すこと。純米酒にこだわったのは、目の前が海のためお酒に合わせるのは地元で撮れた新鮮な食材が多く、素材を生かした料理には純米酒が合うとの思いからです。

もう一つは、様々なチャレンジ酒の過程で得た酵母や酒米の特徴を酒質向上に活かすこと。
向井酒造の人気商品「伊根満開」は、女性や若い世代にも日本酒を楽しんで欲しいと20年前に開発した日本酒で、古代米・赤米を使った珍しいお酒です。
他にも、今は幻となった「伊根鰤丸(いねぶりまる)」も、酒米を炒めて焙煎して仕込む変わった手法を用いていました。味わいはギネス版日本酒みたいな味わいでよかったものの、中華鍋でお米を焙煎したため煙がすごすぎて目が痛くなったり、絞り機が使えないので手絞りなど、大変すぎて商品化したものの数年で継続を断念。また、松の木からとった酵母やビール酵母を使ったり、全量麹や発芽玄米で仕込むなど、とにかく気になったことはまずやってみると、チャレンジ旺盛な蔵なのです。

伊根鰤丸

伊根鰤丸

この様々な試行錯誤から得た知識は、地元向けの商品「京の春」の品質向上に役立っており、京の春には決まった酵母しか使わないなど今の味わいを確立させました。全ての経験を、酒造りに生かしてより美味しいお酒を届けていく、そんな意気込みを強く持っています。

チャレンジ精神旺盛で明るい杜氏と静かにお酒への情熱を燃やす社長。そんな正反対に見える姉弟コンビが造る「Seafood Night」は、ゆっくり家の晩酌でもホームパーティーでもどんなシーンでも合うお酒。海を思い浮かべながら味わってください。

SeafoodNight

From Brewer

火入れしていない日本酒の醍醐味である力強い味わいを楽しんでください。
冷やした状態で、マグロやサーモンはもちろん、味がマイルドなので、カレーなどのスパイス系、洋食に合います。好みのペアリングをみつけたらぜひ教えてください!